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今までに見た舞台の感想をつづってあります。
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題名:錦秋十月大歌舞伎夜の部
劇場:新橋演舞場
日時:2010年10月11日17:00-21:00(途中休憩あり)
料金:1等15000円
座席:1階1列30番
番組:
一. 近江源氏先陣館(おうみげんじせんじんやかた)
  盛綱陣屋

           佐々木盛綱  仁左衛門
           高綱妻篝火  魁 春
            信楽太郎  三津五郎
            伊吹藤太  錦之助
           盛綱妻早瀬  孝太郎
             四天王  男女蔵
             四天王  宗之助
             四天王  薪 車
             四天王  亀 鶴
            竹下孫八  進之介
          古郡新左衛門  友右衛門
           盛綱母微妙  秀太郎
            北條時政  我 當
          和田兵衛秀盛  團十郎

  七世坂東三津五郎 五 十 回忌
  八世坂東三津五郎 三十七回忌追善狂言
  九世坂東三津五郎 十 三 回忌
二、神楽諷雲井曲毬(かぐらうたくもいのきょくまり)
  どんつく

           親方鶴太夫  團十郎
          荷持どんつく  三津五郎
             門礼者  梅 玉
             白酒売  魁 春
              芸者  福 助
             太鼓打  巳之助
              子守  小 吉
             太鼓持  錦之助
             太鼓持  秀 調
             田舎侍  左團次
              大工  仁左衛門


三、艶容女舞衣(はですがたおんなまいぎぬ)
  酒屋

           お園/半七  福 助
              三勝  孝太郎
           半兵衛女房  吉 弥
             半兵衛  竹三郎
              宗岸  我 當




ひとつめの近江源氏先陣館、これは重い話ですねー。初めて見ました。
子役が観客の視線の大部分をさらっている感じです。
これは大阪冬の陣を鎌倉時代の設定に読み変えた物語。
子供がつかまるが、息子が捕まえたのは甥、従兄同士小さな子で戦い。
弟が子供を取り返しそうとして主君を裏切らないように、こどもを切腹
させるように祖母に頼む。その語りが泣かせます。でも孫がいやいやす
るのでふんぎりがつかず。。そうこうしているうちに弟が無理な進撃を
して討ち取られたという報告があり、主君がきて首実験をしろと言います。
甥が飛び出してきて、父上が死んだからには生きている甲斐なし!と叫び、
皆びっくり!ここがかわいい、首実験をすると偽物!ここで偽とわかっ
て苦笑いをし、それからはてと甥をみて悩み、はっと気がつく、この仁
左衛門の表情が素晴らしい。
劇場内の客の意識すべてが仁左衛門の顔一点に集中している感じですね。
実は首は影武者のもので、それに真実味をますために弟親子で仕組んだ
わなだったのです。甥は切腹し、それにより首の信憑性を高め、首実検
を無事通過させてしまいます。。。
子役の存在感、団十郎の迫力、仁左衛門の美しさが際立った番組でした。

幕間では舞踊用に舞台を底上げをしていました。




三津五郎の解説がイヤホンガイドで流れていました。
--
養女で御殿奉公すると、御殿で芝居の噂話をする。姫がその話を聞
いて見たくなるが、もちろん芝居小屋にはいけません。
そこで腰元が練習して広間で見せるようになった。この練習の先生が
そこで板東家、狂言師が指導だけでなく出演もした
芝居がお大名の奥向きにはいったことで武士と町民との境が低くなった
板東家がその仕事で垣根を低くしたと言えます
どんつくというのはなんだ?
うんつく、どんつく、田舎ののんびりしたひとたちをさした悪口。
それから転じてどんつくはこっけいなものをさすようになりました。
大道芸では、親方がいて、それにたいして道化がどんつく。
この「どんつく」は大道芸のこっけいな動きを中心とした風俗舞踊。
--

筋書きの41ページには次のようにありました。

--
「神楽諷雲井曲毬」は弘化三(1848)年、江戸市村座で初演された
常盤津舞踊です。作詞は三世桜田治助、作曲は五世岸沢式佐です。
通称「どんつく」と言われる所以は「鈍な男」という意味と団扇太
鼓を叩く音を形容しています。
また太神楽で太夫の後見をする荷物持ちが「どんつく、どんつく」
と囃しながら踊ることにも由来します
--


つぎはお待ちかねの花籠鞠。追善興行ということでオールスターキャスト
のかなり豪華な番組となっていました。
丸一の太鼓に大麻、親方は紋付帯刀で尻っぱしょり、青いパッチをはい
て、背中の帯に撥を2本はさんでいます。黒紋付の背中に赤い撥、諸肌
脱ぐと真っ赤な襦袢。かっこいいなあ。
後ろに飾られた花籠鞠はかなり使われた風情、まんなかの台の下の輪が
みどりの斑模様籠は竹の色そのまま?一番高い皿は斜めに傾いて鞠を投げ
いれやすくなっているようです。
親方が2本撥をすると、どんつくが棒状のささらで同じような格好をしな
がら音を立てます。
錦絵にあるまんま、撥で髷をひっぱる光景も展開されておもしろい。
どんつくに太鼓を持たせて親方が叩こうとして、持ち位置が上すぎる、
下すぎる、といった太鼓の茶番のお約束もはいってます。
舞台中で二本撥の曲芸がはいるのですが、それは御愛嬌。片手で1本
投げて、糸操り、撥を交差したままほおり投げたり、交差した状態から
撥を回転させたり。どんつくは撥がくっついて見えるのを竹?に挟みこん
でしまってつっつけてしまいます。指車も若い者がちょっと。
どんつくは親方の劣化コピーをしてみせて対比を楽しむ、という構図
なのでもうちょっと親方に頑張ってほしい気もするのですが、練習時間
考えるとやむをえないところなのでしょうか。投げではなく所作にはいる
と突然美しくなるのがさすが歌舞伎役者と思いましたです。

花籠鞠はかなりまともな纏い振りからはいりました。花籠鞠持って踊る
のは良い。肩に載せて回って見せるのもきれい。1個の鞠を使って籠に順番
に入れていき、最後は手で針にぐっさり(^^;)それなりに形にまとまって
いて感心しちゃいました。

筋書き42ページには曲芸の囃し文句が載っていました。

----
再び鶴太夫とどんつく、太鼓打の3人が踊り始めると、鶴太夫は太神楽の
曲芸を始める。

抜けつ潜りつヒョイと止まった
柳に燕籠に 手毬のしゃんと来い
落ちたら恥よ 落としたら拾お袋持

続いて、どんつくが田舎踊りを始める。

其様好えなら己も好え それで世の中どんと好い
どんつくどんつく どどんがどん 

----

花籠鞠以外では(^^;) 、白酒屋の言い立てがおもしろい。
エンディングでは全員でどんつくの振付をどんどん真似ていきます。とて
もこっけいで華やかな幕切れ、ごちそうさまでした。

イヤホンガイドの解説につっこみたいところはありましたが、まあ。。
ところで、筋書きの花籠鞠のイラストは現在の形とは似て非なるものになっ
てしまっているんですが、元ネタあるのでしょうか?




最後はどーんと重い作品。
ろくでもない男を中心とした人情噺。書き置きを読むところが一番の見せ
場?さわやかで能天気だったどんつくと比べて落差がとても大きい番組でした。

筋書きの84ページにどんつくの英語解説が載ってました

----
`Dontsuku` is an insouciant genre dance
depicting a scene of the Edo period centered on dance by street
entertainers who are surronded by all manner of Edo citizenry as
they pass by. The full name of the number is `Kagurauta Kumoi no
Kyokumari` but it is known almost exclusively as just `Dontsuku`.



Conspicuous among them are Tsurudayu, the boss of a troupe of
Daikagura street entertainers, a "taiko" drummer, and a
porterservant known by the nickname of Dontsuku.
Brisk movements of the troupe boss, who is a born Edokko or Edo
native, and contrassting slow movements of Dontsuku,
a country fellow, invited laughter from the spectators.
Before long, the "shirozake" white sake peddler's sales stunt
starts and each spectator demonstrates his specialty performing
art. Soon, Tsurudayu's troup starts performing acrobatics.
While a stunning atunt with a caged ball is performed. Dontsuku
appears awkward.
Following this stunt, Dontsuku performs a country dance of his
native village. Though Tsurudayu and the taiko drummer try to
imitate him, they cannot dance as well as Dontsuku.
All the spectators are takenaback by Dontsuku's light, witty,
smart performance.
----

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