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題名:組踊公演「屋慶名大主敵討」
日時:2008年2月23日14:00-16:40(途中休憩あり)
劇場:国立劇場おきなわ
料金:3000円
座席:1階5列10番(張り出し舞台最前列センターブロック)
URL:http://www.nt-okinawa.or.jp/schedule/kouen20080223.html

舞台形式:張り出し舞台
番組:
第1部 琉球舞踊
1 若衆揚口説(わかしゅあぎくどぅち)
 [踊り手] 又吉良子・宮城望
2 江佐節(えさぶし)
 [踊り手] 浜川真由美
3 貫花(ぬちばな)
 [踊り手] 田場みゆき・恩納智美・久志夏季・屋我幸枝
4 本嘉手久(むとぅかでぃく)
 [踊り手] 赤嶺多賀子

第2部 組踊「屋慶名大主敵討(やけなおおぬしてきうち)」
 (あらすじ)
  傲慢で強欲な屋慶名大主は、美人で評判の高い饒辺大主の妻に横恋慕して、
我がものにしようと 悪巧みをする。そこで酒宴に誘い、太刀の舞にかこつ
けて饒辺大主の命を奪う。そして、饒辺大主 の妻に自分の妻になれと迫る
が、一切聞き入れられず縄に掛けられる。 一方、父を殺され母も生 け捕
りにされた亀千代は、臣下らと仇を討つ機会を持っていた。ある時、月を眺
めている間計略を 思い付く。屋慶名の浜で、歌や踊りを興じ屋慶名大主を
誘い出し、隙を見て討ち取るという計画を 立て、めでたく父の仇を討ち母
親と再会する。

 [指導]島袋光晴・赤嶺正一
 [配役]
  屋慶名大主 神谷武史
  饒辺大主 親泊久玄
  山岡の子 赤嶺正一
  浜村の子 金城清一
  亀千代 親泊邦彦
  亀千代の母 嘉数道彦
  川西の比屋 比嘉良雄
  松本の比屋 金城陽一
  山元の子 宇座仁一
  田仲下庫理 儀保政彦
  屋慶名の供 真境名律弘
  饒辺の供 儀保政彦
  踊り手 平田智之
  踊り手 大湾三瑠
  踊り手 石川直也
  船頭 宇座仁一
  やうちやこ持 前當正雄
 [地謡]
  歌・三線 中村一雄・新城治・國吉啓介
  箏 稲福貴子
  笛 宇保英明
  胡弓 新城清弘
  太鼓 金城盛松
  謡曲 知念良壽



この国立劇場おきなわはすごく立派な建物でした。周りになにもないところに
すくっと威風堂々と建っています。外から見ると2000人規模の劇場にみえ
ました。はいってみると、非常に高い天井にとても広いロビー、そしてすごく
狭いロビートイレ。劇場にはいるとまた広大なホワイエ、そして客席は、大劇
場の定員が600、小劇場の定員が250.なんか全体のバランスが悪い感じ。
比較的小さな劇場ですからどこから見てもみやすいでしょう。この劇場の今月
の稼動日は大小あわせても7日間のみ、あとは休業?休んでいる間のこの劇場
の鑑賞法は「外から眺める」なのかも。



劇場内にレファレンスルームがあって係員に相談できるところはさすが国立劇
場だと感心しました。閉架式の本棚があり、検索して申し込むと閲覧可能。で
もコピーできないのってどうでしょう?沖縄の伝統芸能に曲芸がないのか開演
前に調べようとしたら、相談にのってくれて終演までに調べてくれるとのこと。
終演後にはなんと沖縄伝統芸能の先生を連れてきてくださいました。ありがた
いことです。お会いした宜保榮治郎先生曰く

「太神楽曲芸のようなものは存在せず、ものを使った芸能で残っているのは京
太郎(ちょんだらー)のみ。京太郎は室町末期に本土からはいって大正時代ま
で生きていた。いまは廃れてしまって、わずかにエイサーの道化役として人間
が演じる形で残っているだけ。本土の神楽は取り入れたところはあったが、す
でに形はない。」
京太郎ってでこ回しのことだそうです。沖縄芸能の歴史に関する参考文献とし
て係員の方から次の2冊を紹介されました。
「沖縄の祭祀と民俗芸能の研究」「沖縄の遊行芸」

県立博物館の図書室でエイサーについてちょっと読みましたが、エイサーも20
世紀後半にチャンピオンシップ形式でイベントをうつようになってから、大幅
に変容(というか別物)になってしまったようです。よさこいソーランみたい
なものでしょうか?

ようやく劇場内部へ。座った座席から舞台を見ると、床がちょっと目の下とい
う感じになります。舞台脇以外はほぼ満員。舞台の両側に字幕が出ます。言葉
は沖縄古語なのでしょうか、それとも現代語?ところどころ単語がわかる程度
です。

1部は女性による踊り、衣装は白地の着物に笠をかぶり、鶴や松、金色、緑な
ど派手な色が美しい。紫の鉢巻きは助六由来?四つ竹を両手に持つパターンも
あり。ゆっくり動いているときはまるでフラダンスのよう。
2つ目が扇を両手にもってきびきびと動いてなかなか楽しい。扇をくるくる回
してもうちょっと進めば曲芸に見える動きです。トリが一番偉い人なのでしょ
うか。いちばんのお歳にみえました。この動きが非常にゆっくりとしていて、
そのうえ演奏が非常にゆっくり、このテンポが睡魔を誘いました(^^;) 動きは
きれいなのだけどなあ。

2部の組踊りは昔々江戸で歌舞伎を見たお殿様が、琉球でもやろう!といって
はじめた比較的新しい(といっても江戸時代半ばから)芸能です。ちょっとず
つ歌舞伎テイストがみえますが、並行進化といいますか、何か違うものにでき
あがっています。びっくりしたのは女形(男しかでません)、と子供役がいず
れも歌うようにしゃべること、そして男は普通のしゃべりです。その節回しは
あまりパターンがありません。
大道具や背景はなし。登場人物が最初に一人ずつ出てきて、自分の氏素性と今
までのあらすじを述べて話がはじまる感じ。動きもほとんどなく、ずっと同じ
位置に座ったまま二人のせりふが続くというシーンもあり。
殺陣はちょっとあるのですが、相手を追いかけてすぐに袖にひっこんで
しまって終了。終わり付近に歌と舞踊が少しはいりました。

劇場ファンなら一度は国立劇場おきなわへ行ってみるのもいいと思います。

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