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今までに見た舞台の感想をつづってあります。
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題名:神奈川県民ホール・オペラ・シリーズ2019グランドオペラ共同制作
ビゼー作曲 オペラ『カルメン』全4幕
劇場:神奈川県民ホール大ホール
日時:2019年10月20日14:00-17:15(途中休憩2回あり、前にプレトーク、後ろにポストトークあり)
料金:S席招待
座席:1階10列14番
上演形態:フランス語上演・日本語及び英語字幕付き/新制作
指揮:ジャン・レイサム=ケーニック
演出:田尾下 哲
装置・衣裳:マドリン・ボイド
照明:喜多村貴
合唱指揮:大島義彰
配役:10月19日(土)/10月20日(日)
カルメン:加藤のぞみ/アグンダ・クラエワ
ドン・ホセ:福井敬/城宏憲
エスカミーリョ:今井俊輔/与那城敬
ミカエラ:髙橋絵理/嘉目真木子
フラスキータ:清野友香莉/青木エマ
メルセデス:小泉詠子/富岡明子
モラレス:近藤圭/桝貴志
スニガ:斉木健詞/大塚博章
ダンカイロ:大沼徹/加藤宏隆
レメンダード:大川信之/村上公太
ダンス:キミホ・ハルバート、名木田弓音、小野麻里子、伊藤 舞、敷波美保、守屋隆生、吉﨑裕哉
合唱:二期会合唱団
児童合唱:赤い靴ジュニアコーラス
管弦楽:神奈川フィルハーモニー管弦楽団
ストーリー:
今回の『カルメン』はショービジネスの世界が舞台。オーディションから舞台は始まり、カルメンはバーレスクのクラブに雇われる。警察はクラブを運営するマフィアと通じていて、スニガは劇場運営も牛耳っている。ドン・ホセは都会に出てきた生真面目な警官で、ミカエラはミュージカルスターの卵。クラブ内の喧嘩でカルメンを捕らえたホセは、逆にカルメンの魅力に囚われてしまう。スニガに抜擢され2幕ではブロードウェイで主演するカルメンは、映像/舞台の大スター、エスカミーリョと出会う。ホセの存在がスニガの逆鱗に触れたカルメンはショービジネスの世界から追放され、3幕では地方のみすぼらしいサーカスに流れ着くが、エスカミーリョが改めてカルメンをスカウトに来てカルメンは映像の世界へ、ホセは危篤の母のもとへ。そして月日が流れ、第4幕は……ショービジネスの頂点で物語はクライマックスを迎えることになる。

☆オペラカルメンプレトーク

◎県民ホール館長 折原さん
・今まで教育行政の世界ばかり渡り歩いていたので、オペラは敬遠していた
・舞台が現代のブロードウェイに変えられている
・1幕目はバーレスク
  オーディションの場面から始まる
  採用されてホセと出会う
・2幕目はブロードウェイの舞台
  マフィアがブロードウェイにも力を持っている
  カルメンたちを追放する
  地方のサーカスでドサ回り

◎演出家 田尾下 哲さん
・21世紀のショービジネスにおきかえている
・カルメン初演は失敗した。当初は明かりもなく機構もない
・変化にはテレビモニタ、照明、字幕が関係している
・もともと字幕がなかった時代はオペラでもイヤホンガイドがあった時代がある
・昔はオケに合わせて美声を競っていた
・字幕が出るようになったことで、内容がダイレクトにわかるようになった
・古語で書かれていたり歌をのばしているのでわからない、ベルカント唱法でうたわれるとききとりにくい
・字幕がでることで、物語がわかるようになった。
・誰が誰にたいしてどのような感情で歌っているのかわかるようになってしまった、それで演劇的にもしっかりする
・愛している者同士が前に向かって歌うのではなく、お互い見つめ合う、演劇性が求められる
・コンタクトレンズの出現も大きい、舞台上では眼鏡は反射するので使えない
・コンタクトレンズのおかげで指揮者が見えるようになった。マリアカラスは弱視で指揮者が見えてなかった
・昔は照明はろうそくだったが、照明がうごくので影をつくれるようになった。
・前は舞台前にたつしかなかったが演劇的な表現が技術によって求められるようになった
・最初は美声を聞かせるだけだった、次が作曲家の時代、新作が生まれなくなって指揮者の時代になった
・1980年代 後半になると演出家の時代、オペラの設定を変えて上演する時代が続く
・どうして21のショービスにうつしたか?
・カルメンはあまりにも有名、しかし実際にはロマのひとたちにとっては侮辱的
・ロマは一人の夫に添い遂げるのが普、ロマの女性像がふしだらである、というので 抗議している
・そのままで上演して良いのか???
・1980年代の米国でも黒人用、白人用にプールがわかれていた、アジア人は仕方ないから白人用でいいかな
・いまだに 黒人の水泳選手がいない
・黒人は参加できない、一部のひとたちを排他した段階でよいのか?
・カルメンに関してもいわゆるジプシーの女を描くのには 慎重にならねばならない、普遍的にならねばならない
・闘牛士も絶滅危惧団体、19世期にでたからといってスターとして描いていいのか
・ショービズの世界を舞台にして宿命的な女、野心をもった女性の物語を描きたい→わかりやすいのは21世期
・序曲がオーディションになっている
・最終的にはオスカー、レッドカーペット映像の世界を目指した
・物語を伝える際に差別を特定の人種にしたくない

ーーーーここでプレトーク終わり



提携公演は本来オーソドックスな演出なのだが、熱意で説得されたそうです。
鉄骨による2階建ての背景、シンプルな大道具。
キャストもほとんど黒服で地味です。オープニングはオーディション。
バーレスクがとても地味、ショーが全然バーレスクっぽくない、もっと
エロくないと、通常のジャズクラブやキャバレーと区別がつきませんね。
それにバーレスクはもっとカラフルでないと。。。
そして次の場面ではもうブロードウェイ。客席係は本物のPlaybillを持って
いた!小ネタ凝ってます。ブロードウェイショーも、人数が少なく華がいまいち。
オフブロードウェイといった雰囲気。ダンサーも派手な動きをしていてほしかった。
プロデューサが劇場みんなに歓迎されるシーンはトレアドールがかかりました。
この状況と歌詞がなんとなくマッチしていて、うまいぐあいに読み替えられてます。
ここは面白い。しかしブロードウェイのスターになったのに、それでも泥棒しに行く?
3幕目は場末のサーカス、といっても曲芸はリボンとフープしかないのです。
そしてあっというまにオスカー会場。なぜトニーではなくオスカー?
最後のシーン、カルメンが撃たれた後に、次の彼女を連れてくるプロデューサ、
ということで資本主義の無情さをばっちり表現してエンド。


◎終演後の交流会(ポストトーク)
 演出家 田尾下 哲さんとの意見交換・質疑応答

・今までのイメージをゼロにして かんがえなおした
・ロマの友達から聞いた話
 カルメンは有名なオペラ作品、ロマは苦々しく思っている。
 ジプシーは彼らが蔑称として呼ばれていること。
 ロマはカルメンの作品に 抗議している
・政治的宗教的信条はないが、差別だけはよくない
 だからそのまやるのはどうしてもいやだった。

・結末は、何かがダメになるとすぐにかえがでてくる、ということにした
・アメリカは最初から狙っていた
・インターネットがあると手紙がナンセンス
 1970?1980を狙っていた
・歌詞、音楽は一切変えてない     
・ドイツ語で訳詞上演するときはほとんどかえてる
Q:コミカルな仕草がやりすぎ?
A:音楽が そうかかれている。シリアスにとられるとは思わない、解釈は全て音楽からきている
・ラインダンスは素晴らしくうまくできたらよかった
・うまいを求めるならダンサーだけでやるがそれは考えなかった
・即興でやっている、それをみんなが楽しんでやっている
・楽しんでいる姿を前提にする
Q:黒一色で銀金いろんないろで最後に赤、色の順番の意図は?
A:白黒映画のようなイメージ
 レッドカーペットの赤がピークになるように

Q:今回の演出はサーカスをショービジネスの底辺においているように読み取れたが?
A:シルクドソレイユの初期のころを想定した
Q:サーカスシーンのパフォーマンスが残念だったのだが、プロパフォーマを入れて祝祭感を
 出すつもりは?
A:それは考えたが、実行する余裕がなかった
Q:歌手が地方へ逃げるならキャバレーなどであって、場末のサーカスには逃げないのでは?
A:通常の地方劇場には通達で追手がかかっているので劇場以外のサーカスに行った
Q:なぜTONYではなくOSCAR?
A:彼女はよりマーケットが大きい、映画への野心を抱いていた


----------------
公演の前後の演出家先生のトークと併せて素晴らしいイベントだったと思います。
新演出の時は特に、なぜそうしたのか?をアフタートークで聞けると新しい観点から
舞台を反芻することができてより一層楽しめると思いました。


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