今までに見た舞台の感想をつづってあります。
× [PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。 題名:ラッパ屋第38回公演「ハズバンズ&ワイブズ」 日時:2011年11月16日19:00-20:55 劇場:紀伊國屋ホール 料金:当日4800円 座席:F-19(6列目右端付近) 脚本・演出:鈴木聡 出演:福本伸一、おかやまはじめ、木村靖司、三鴨絵里子、弘中麻紀、俵木藤汰 ほか 解説: 今年、ニッポンには大変なことが起こった。震災当日、僕らは公演中だったこともあり、今日芝居が できるのか、やってもいいのか、ということも含めていろいろ考えた。いろいろというのは、甚大な 被害のこと、東京にいる僕らのこと、演劇のこと、娯楽のこと、観客のこと、電車のこと、電気のこ と、放射能のこと、テレビのこと、ネットのこと、政治のこと、原発のこと、未来のこと・・ほんとう にいろいろである。このところ僕は、ラッパ屋では、そのとき僕が一番考えていることを芝居にしよ うと思ってきたので、今回はこれらのことを書かなくてはならない。正直、荷が重い、という気持ち もあるが、「笑い」や「コメディ」や「等身大」という僕らがずっとやってきた方法で、どこまでや れるかチャレンジしたい気持ちも大きい。いつものラッパ屋のやり方で、いつものおまぬけな登場人 物たちと一緒に、この大問題に取り組みたい。というわけで「ハズバンズ&ワイブズ」では、幾組か の夫婦の物語を中心に、今年の一大事を巡るいろいろな思いを描きながら、精一杯、僕らの芝居をつ くろうと思います。 (鈴木聡) -------------- 久々の紀ノ国屋ホールです。ちょっと暇ができたので当日券で見にきました。 10分前になっても半分はいっていません。平日はこんなもの? 後ろの方は席があいていました。もったいない。 ビデオカメラがはいっていましたが、TV放映の予定はいまのところないそうです。 舞台は、左側手前に小さな机と本棚、奥にはバースツール。舞台中央には低い机、 クッション、奥にはソファセット。そして舞台奥はガラス戸にベランダ。 開演前に暗転して舞台が明るくなると、部屋の中は惨憺たる有様。 震災の直後らしい、でも実は混沌の半分は震災前の夫婦喧嘩のものだったのです。 震災が縁で、両隣の夫婦やご近所さんがきて震災共同体とでも言う雰囲気。 平凡な中にいろいろな問題を持つ人達。そうこうするうちに今度は原発が爆発し、、、 お店を持っている親父は店の商品もって東北にボランティアにいこうと言いだし、 何かをやりたいひと、今から逃れたい人がそれにのり、、不倫関係のカップルは これを機会に女から清算しようとします。。震災をいいことに現実から逃げて 田舎に引っ込もうとする亭主に切れて啖呵を切ってしまう妻。戻ってきた人たちが 放射能汚染しているのではないかとおびえる者がいて、それを諌めたり。。 あの時のまんまの状況なのですが、それでいて笑えるシチュエーション。 いろいろくすくす笑って、最後にほろりとさせるいつものラッパ屋、 ただし社会に向き合う風味、といったところでしょうか。 大震災に真っ向から向き合った脚本とキャストに拍手。 見るなら今! PR
題名:ベッジ・パードン
劇場:世田谷パブリックシアター 日時:2011年7月16日18:00-21:05(途中休憩あり) 料金:9000円 座席:1階K11(客席なかほど左側通路側) 劇団:シス・カンパニー 作・演出:三谷幸喜 出演: 夏目金之助(日本人留学生):野村萬斎 アニー・ペリン(ベッジ):深津絵里 畑中惣太郎(ソータロー):大泉 洋 グリムズビー(アニーの弟):浦井健治 ハロルド・ブレッド(電気工)/サラ・ブレッド(下宿の女主人)/ ケイト・スパロウ(サラの妹)/ウィリアム・クレイグ(シェイクスピア研究家)/ ハモンド牧師(クレイグの友人)/セントクレア婦人(クレイグの友人)/ ビクトリア女王/ブラッドストリート警部(スコットランドヤードの警部)/ 弾丸ロス(お尋ね者)/ミスター・ジャック/モラン大佐(退役軍人):浅野和之 ストーリー:(公式Webより) 明治政府の命を受け、夏目漱石が英国留学へと旅立ったのは1900年のこと。 ロンドンから綴った漱石の手紙には、度々[ベッジ・パードン]なる女性が登場する。 生来の神経症的性質を抱え、漱石は異国の地でどんな人間模様を育んでいたのだろう? 三谷幸喜が描く“のちの文豪”と“ベッジ・パードン”の物語。 満員立ち見です。劇場の上のほうまでいっぱい。 舞台の幕はロンドンの地図、明かりがついているところが下宿の位置?舞台装置は下宿 部屋とその外の廊下、その上の屋根部屋の窓。漱石の下宿で物語は進みます。廊下が舞 台左側にあり、下宿と仕切りがあるので、客席右手前方に座っていると、廊下での演技 が見えないかもしれません。 最初は英語で始まります。すぐにナレーションで、観客のために英語を日本語に翻訳し て上演します!w それからは日本語です。劇中で一度だけ翻訳モードをオフにして、 日本語の戯れ歌、なかなかおもしろい趣向でした。 漱石の下に下宿している日本人のソータローは陽気だけどなんとなくうさんくさい。小 間使のアニーはコックニー訛でHの発音がありません。日本語でそれを表現するために、 H抜いてしゃべっているのはさすが。アニーの弟もおなじ訛りで奮闘。漱石がアニーと懇 ろになってしまった後は、漱石も流暢ではあるがHがない発音にとなってしまいました。 惣太郎は英語が流暢で日本人同士でもあえて英語で通しているのですが、実は日本語で 話すとおそろしく訛るw タイトルのベッジパードンは I beg your pardon がコックニー 訛で bedge pardon になったことからアニーについたあだ名でした。 そして、大家、大家の奥さん、大家の奥さんの妹、英語の先生、英語の先生の友人夫婦、 刑事、強盗、ビクトリア女王、死んだ犬、新しい下の住人、を一役でやる浅野さん、こ れぞ宛書き?千変万化で少人数のキャストなのに物語に広がりをもたらせてくれました。 そして、この一人多役がまた、漱石曰く「イギリス人が全部同じ顔に見える。。」という ギャグのネタにもなっていました。 金之助は英語が話せないためにひきこもり、すべてのことに受身。とてもまじめなのです が妙にかわいい金之助を萬斎さんが熱演。sense of humour があるというソータローの せりふに思わず納得。金之助は日本人のソータローがいると意識してしまってより下手に なる。ソータローもわざと一緒にいる。。。ソータローは表面は良い隣人のふりをしてい ますが、実は金之助の状況を妬んでこそこそ意地悪。 ソータローは金之助の妻からの手紙を隠してしまい、そのため金之助は妻が自分に愛想尽か しをしたと思ってしまいます。その状態でなかよくなってしまうアニーと金之助、ベッド の上でも仲良しっ。 グリムズビーは自分本位で聞く耳もたず、一本スジが通った哲学を持っているようです が、ただ普通の倫理観とはあいいれません。 借金のカタに姉を女衒に売り飛ばそうとしたり、兄?という感じもあったのですがあま えんぼさんの雰囲気は弟かなあ。 アニーを日本に連れてかえって妻にしようとしていたら、、あるきっかけでソータロー が隠していた手紙が見つかってしまいました。そこでソータローの悪意発覚。金之助錯乱、 アニーは金之助をあきらめて弟のために身を売り。。金之助はそこから完全に引きこもり になってしまいました。 本当に見事な宛書きに見えます。どこまでが史実でどこからが創作なのかぜんぜんわかっ ていませんが、きれいにまとまっていましたね。 きらきらと夢を語るアニーがまぶしかった。 題名:Jerusalem 劇場:Music Box Theatre 日時:2011年6月12日14:00-17:10(途中休憩2回あり) 料金:BroadwayBox割引 99USD(telecharge手数料込み) 座席:ORCH L16 脚本:Jez Butterworth Ian Rickson (Direction) Ultz (Set and Costume Design)(Best Scenic Design of a Playノミネート) Mimi Jordan Sherin (Lighting Design)(Best Lighting Design of a Playノミネート) Ian Dickinson for Autograph (Sound Design)(Best Sound Design of a Playノミネート) Stephen Warbeck (Music) 出演: Johnny "Rooster" Byron :Mark Rylance(Best Performance by an Actor in a Leading Role in a Play受賞) Ginger:Mackenzie Crook(Best Performance by an Actor in a Featured Role in a Playノミネート) Lee:John Gallagher Jr. The Professor:Alan David Phaedra:Aimeé-Ffion Edwards Dawn:Geraldine Hughes Davey:Danny Kirrane Tayna:Charlotte Mills Ms. Fawcett:Sarah Moyle Marky:Mark Page(日替わり子役) Pea:Molly Ranson Mr. Parsons:Harvey Robinson Richard Short:Frank Whitworth, :Barry Sloane Danny Whitworth,:Jay Sullivan かなり混んでいるかと思いきや、私の右側は前後含めてすぱっと空いていました。 幕は赤い十字が描かれています。客席は年配の方が多いようです。 幕の前に芝生、切り株、薪、ごみ、金属性の容器。かなり扇状の客席で、私より 右だと見切れあり?TKTSでかってもよかったかなあ 幕の前に天使の羽をつけた少女がアカペラでうたいはじめてはじまりはじまり。 幕が開くと中はどんちゃんさわぎ、トレーラーハウスの前で大パーティ。 ここは公園の中、開発計画がきまっており役人が立ち退きの張り紙をしていき ます。主人公がでてくると、これがまごうことない酔っぱらい。足をずっと ひきずってふらふら歩き、金属桶の中に逆立ちしてはいって頭から水をかぶっ ちゃいます。それからミルクシェイクにジンをどばどばいれてズボンの中で シェイクして飲む。つかみは完全にOK。 ずっと酔っぱらい続けている演技は確かに見事。もちろん酔っ払いなので 話している言葉はとても聞き取りにくいOrz ネバーランドみたいな逃避場所で皆ぐずぐずと時間を過ごしているでOK? 仮装して宴会、バカ話が続いたり、トリビアやったり、その中に青春があっ たり、そして酒とドラッグがあり、ある意味桃源郷?まあ、イカシタ(イカレタ?) おじさんで、子供にとってはできの悪いお父ちゃんという位置づけかなあ。 3幕目はうってかわって濃密な雰囲気、空気の粘度が2倍になったかんじ。 かっこいい格好させるとかなりの威厳。なんかどうでもいい感じは根底に あるものの、いままで斜に構えていたものに色々向き合ってしまった感が あります。子供は連れ去られるわ、ぼこぼこに殴られるわ、立ち退きは、、 かなりやるせない終わり方でした。 重厚な芝居を見た感じです。主役のMark Rylanceのカーテンコールでは 客席全体スタンディングオベーションでした。こりゃ賞取るなと思ったら 案の定主演男優賞受賞でしたね。 題名:Bengal Tiger at the Baghdad Zoo 劇場:Richard Rodgers Theatre 日時:2011年6月11日14:00-16:10(途中休憩あり) 料金:BroadwayBOX 割引 79USD 座席:ORCH L113(真ん中通路すぐ後ろ、センターブロック左端) Moises Kaufman (Direction) Written by: Rajiv Joseph 出演: Robin Williams (Tiger) Arian Moayed (Musa) Glenn Davis (Tom) Brad Fleischer (Kev) Necar Zadegan (Iraqi Woman, Leper) Hrach Titizian (Iraqi Man, Uday) Sheila Vand (Hadia/Iraqi Teenager) Hend Ayoub (u/s Iraqi Woman/Iraqi Teenager/Hadia/Leper) Corey Brill (u/s Tom, Kev) Sherman Howard (u/s Tiger) Daoud Heidami (u/s Musa/Iraqi Man/Uday) イスラムの礼拝堂の窓ガラスらしいものが舞台中央に鎮座していました。 客席後ろはがらがらです。さすが40%台。2階はどれだけはいっているので しょうか。最前列だと舞台が頭より高くなってかなりみづらそう。このあたり で床が舞台よりちょっと上の感じ。 ずっとイラクの雑踏のような感じのBGMが流れていました。 物語の場所はバグダッド、バグダット動物園から動物が逃げ出したり撃ち殺され たりで最後に残ったのがロビンウィリアムスふんする虎くん。その虎くんが檻 に突っ込まれた兵士の右手をご飯にしたばっかりに撃ち殺されてしまいます。 それ以来、成仏?できずに殺した兵士にだけみえる亡霊となってふらふら。 殺されたことで自由をえた?! この虎くん、動物園に入る前はちょっとランチで子供食ってました、でも動物園 にいる間は殺生なし!腹が減って食べただけなのにどうして?とか神様に文句を たれているのです。 登場人物は、米軍の若い兵士(そのうち一人が右手を食われ、ひとりが虎くんを殺す)、 通訳兼庭師、ウダイフセイン、など。物語の場所は動物園のおり、事務所、 どこかの家、病院、と転々。 木を刈り込んで動物の形にした盆栽(なんていうの?)、象とかキリンとか、馬とか、 庭師が平和な時に作っていた庭園も。盆栽の動物は戦争になってもそのままなのです。 殺した兵士は気がふれ、手を食われた兵士は人造の右手をつくっていろいろ不便。 泥う帽子足り、気が触れた兵士から拳銃を奪った庭師はウダムフセインにいたぶ られ。。そして皆何かあるたびに神様に文句を言うのです。なんかコンビニ? 狂言回しで虎が出てきて、人間より哲学的な思索をするというところでしょうか。 虎くんより人間の方がずっと辻褄があわず、何をしだすかわかりません。。 くらーい救いのない物語に笑いが含まれるという雰囲気。ロビンウィリアムズを はじめとする俳優の演技はいいのだけれど、見た後でどよんどよんと暗くなって しまいます。playbill ではこの作品は dark comedy に分類されていました。 私はもっと楽しくなる方がいいなあと。 題名:The Normal Heart 劇場:John Golden Theatre 日時:2011年6月8日14:00-16:40(途中休憩あり) 料金:Playbill 割引75USD 座席:F116(6列目中央より6つめ) Joel Grey (Direction) George C. Wolfe (Direction) David Rockwell (Set Design) Martin Pakledinaz (Costume Design) David Weiner (Lighting Design) David Van Tiegham (Sound Design) Batwin + Robin (Projection Design) Written by: Larry Kramer 出演: Dr. Emma Brookner:Ellen Barkin Mickey Marcus: Patrick Breen Ben Weeks:Mark Harelik Felix Turner:John Benjamin Hickey Ned Weeks:Joe Mantello Craig Donner and Grady:Luke Macfarlane Bruce Niles:Lee Pace Tommy Boatwright: Jim Parsons Hiram/Examining Doctor:Richard Topol David and Felix :Wayne Alan Wilcox TONY賞リバイバルプレイ作品賞受賞。かなりせつない作品です。 広くない劇場です。両端でないかぎりどこにすわっても問題ない でしょう。最前列でも床が胸あたりにきますので大丈夫。 この劇場はほとんどストレートプレイにのみ利用されているはず? WAR HORSEよりちょっと客層が若い感じ。 ここでもアジア系の顔立ちはほとんど見かけません。 背景は白い壁、浮き彫りで文字がびっしり書かれています 読めるのは、、 This is a terrible problem.How come nobody's paying any attention of it? January 12 1982 GAY NEWS HEALTH CRISIS Everything, everything, is too little too late, by our silence, we have helped murder each other. Gay-related immune deficiency July 1982 The disease is renamed AIDS 年表になってます? 天井は照明を白木で囲んでおり、舞台全体が白い雰囲気です。 大道具は椅子と机程度。 オープニングは病院、順繰りに医者に呼ばれて、、新しい病にならなため には世界中のゲイがセックスをやめろと。。天井上の白木の部分にどこど このアパートとかオフィス、という説明が出て場面転換するのでした ゲイの中でも浮いてしまう主人公、助けてくれない弁護士。その間にも人は 死んで行きます。ライターの主人公がなんとか啓蒙活動をしようとする。 でもゲイだけの病気だと思われていて、、弁護士もやくたたず、市長もや る気なし、そのうち組織でも浮き上がり、かなり痛い。 力強い言葉の応酬、非常に高いテンションで物語が進みました。 現実が現実なゆえに説得力があるのでしょう。 レーガン政権補助金申請を断られたときの Dr. Emma の啖呵には 拍手が鳴りやみませんでした。 時々にジョークがはいって緊張が緩和するのですが、そういうときに限って 聞き取れないOrz。ちゃんと笑えたのは、彼氏から、言いたいことがある、 と問われたときの 妊娠したのか? くらいでしたよ。 最後は客席みんなすすり泣き 舞台の壁面どころかその外側まで死者の名前がずらりと。 もどかしくやるせない終わり方です。 終わった後に劇場前で作者からのメッセージが配られていました。 毎週火曜日の公演後にポストトークが行われているそうで、知っていれば 火曜日にみたのに残念! |
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